大和ハウスリート投資法人

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TNFD提言に基づく開示

自然資本に対する方針・考え方

本投資法人及び本資産運用会社は、大和ハウスグループの基本姿勢である「共に創る。共に生きる。」を共有し、不動産投資運用業務に環境(Environmental)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)への配慮を組み込むことはサステナブルな社会の実現に不可欠であり、かつ本投資法人の基本方針である中長期にわたる安定した収益の確保と資産の着実な成長に資すると考えています。本資産運用会社はこの考え方に沿った「サステナビリティ方針」を2017年4月に制定し、不動産投資運用事業を通じて実践してまいりました。
人々の暮らしや経済活動は、生物多様性を基盤とする生態系から得られる自然の恵みによって支えられています。生物多様性を含む自然資本の喪失という環境課題によって、バリューチェーンにおけるリスクが増加する可能性がある一方、事業を通じて環境課題解決に貢献することで持続的成長にもつながります。本投資法人及び本資産運用会社の事業活動においても、気候変動対策、過剰消費の削減、持続可能な生産、生物多様性への投資等の取り組みを進めることで、ネイチャーポジティブの推進に寄与し、競争力の強化につながると考えています。

各種取り組み

一般要求項目

TCFDの枠組みに、TNFDでは下記の「一般要求項目」が追加されています。

一般要求項目
① マテリアリティの適用

サステナビリティに関わる自然資本を含む重要課題(マテリアリティ)を下記プロセスで特定

Step 1 サステナビリティ課題の抽出
本投資法人に関わるサステナビリティ課題を、グローバルな各種ESG評価、サステナビリティ開示基準、SDGsから抽出
Step 2 優先順位付け
抽出した課題から、本投資法人における開示や対応の状況の確認、本資産運用会社の経営層へのヒアリングを実施し、優先順位付け
Step 3 妥当性の確認
客観性を担保するため、「選定プロセス」「特定したマテリアリティ」について、外部コンサルティング会社によるレビューを実施
Step 4 経営層の議論と承認
サステナビリティ委員会での議論を経て、コンプライアンス委員会、本資産運用会社取締役会及び本投資法人役員会に報告
② 開示範囲
■自然に関する評価と開示の範囲
  • 直接事業:不動産運用(注)
  • 上流のバリューチェーン:建設(参考)
  • 下流のバリューチェーン:今回は非対象
  • ポートフォリオのうち取得価格ベース 上位100物件(カバー率80.1%)
■自然に関する評価と開示の範囲の決定プロセス

サステナビリティ委員会での議論を経て、コンプライアンス委員会、本資産運用会社取締役会及び本投資法人役員会に報告

③ 地理的な位置
  • 本投資法人の直接事業における自然に関するリスクや機会は、不動産と自然の接点である地理的な位置によって異なるため、バリューチェーンを通じたポートフォリオと自然との接点である地理的位置を考慮
  • 地理的な位置別の情報開示に当たっては、その情報の特性や利用者にとっての有用性などを考慮して、情報を細分化・集計
④ 他のサステナビリティ情報との統合
  • 今回は、TNFD提言に基づく開示とし、今後は開示済のTCFD提言に基づく開示と統合することを検討
⑤ 時間軸

短期:1年以内
中期:1年~10年程度
長期:10年~30年程度

⑥ エンゲージメント

大和ハウスグループは、自社の事業活動が人権に及ぼす影響について、影響を受ける人々の視点から理解し、対処・改善できるように、ステークホルダーとの対話・協議を精励
詳細は「ステークホルダーエンゲージメント」をご参照ください。

ガバナンス 戦略 リスクと影響の管理 指標と目標
自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関するガバナンスを開示する。 自然関連の依存・インパクト、リスク、機会が、ビジネスモデル、戦略、財務計画に与える影響を、その情報が重要である場合に開示する。 自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を特定・評価・優先順位付け・モニタリングするために使用しているプロセスを開示する。 重要な自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を評価・管理するために使用される測定指標とターゲットを開示する。

LEAPアプローチに沿ったリスクと機会の検討

LEAPアプローチ

本投資法人は、TNFDが示す自然関連リスクと機会の評価アプローチであるLEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare:発見、診断、評価、準備)アプローチに沿って、本投資法人の事業に係る自然関連の依存と影響(注)を特定し分析するとともに、自然関連リスクと機会を特定し評価しました。評価の結果、重要性の高い事項について対応策を検討し、指標・目標を設定するなどの管理を実施しています。

LEAPアプローチ 分析の実施

ガバナンス

サステナビリティ推進体制と取締役会の監督、経営者の役割

サステナビリティ方針・推進体制「サステナビリティ推進体制」をご参照ください

サステナブル調達ポリシー

生物多様性

木材調達において、合法性と持続可能性を確認した木材の使用、または100%リサイクル木材の調達に努めること。

その他サステナブル調達ポリシーについてはこちらをご参照ください。

木材の調達方針

開発事業にともない、その地域の生態系に損失などが生じた場合、事業機会の損失や生態系を回復させるための費用負担が発生する可能性があります。また長期的には、大和ハウスグループが扱う資材のひとつである木材の調達において、合法性や持続可能性に配慮した木材の需要が拡大した場合、こうした木材の調達が困難となることが懸念されます。
そこで本資産運用会社では、プロパティマネジメント会社に対して、大和ハウスグループの「サプライチェーン サステナビリティ ガイドライン」のうち、取引先が調達し本投資法人に納品する物品(建材等)の環境性・社会性についての基準である「生物多様性ガイドライン」【木材調達編】に基づき、

  • 認証木材:各種機関から認証を受けた木材
  • 再生木材:建設廃材のリサイクル木材
  • 大和ハウス推奨木材:①②以外で10のチェック項目について一定レベル以上と判断された木材(合法性3項目、持続可能性7項目)

の使用の推進に取り組んでいます。

森林破壊ゼロ方針

大和ハウスグループは、

  • 森林破壊ゼロを方針に掲げるサプライヤーから木材を調達します
  • 原産国における先住民、労働者の権利、安全に配慮した木材を取り扱うサプライヤーから購入します
  • トレーサビリティが確認できる木材を購入します
  • 森林破壊ゼロの対象となる木材を、構造材、下地材、桟木、フロア材に加え、型枠合板パネル、主要設備、建具、クロスに拡大します
  • 森林破壊ゼロの対象となる木材とは
    (1) 自然林の皆伐により生物多様性が毀損されていない木材
    (2) 高炭素蓄積地(HCS)を毀損しない方法で植林された木材
    (3) 100%リサイクル材

ステークホルダーエンゲージメントについてはこちらをご参照ください。

戦略

自然への依存及び影響に関するヒートマップの作成及び活用

本投資法人では、UNEP(United Nations Environment Programme:国連環境計画)が開発した「ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)」(注1)及び「SBTN Materiality Screening Tool」(注2)を活用してヒートマップを作成し、不動産運用(直接事業)及び建設(上流)におけるセクターの自然関連の依存・影響の度合いを5段階で整理しています。
整理した結果を参考にして、LEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare:発見、診断、評価、準備)アプローチに沿って、本投資法人の事業に係る自然関連の依存と影響を特定し分析するとともに、自然関連リスクと機会を特定し評価しています。

依存に関するヒートマップ

不動産運用(直接事業)において、「地表水」への依存が高いことを確認

影響に関するヒートマップ

不動産運用(直接事業)において、「陸域生態系の利用」への影響が非常に高いこと、「固形廃棄物」「GHG排出量」への影響が高いことを確認

自然関連依存度及び影響度の分析方法

自然関連依存度及び影響度の分析

前述のヒートマップを参考に本投資法人における優先度の高い物件として、取得価格ベースで上位100物件(カバー率80.1%)について、自然関連依存度及び影響度の分析を実施しています。

自然関連依存度の分析方法

評価項目 評価手法
物件エリアの生態系の状況 ①生態系の完全性(注1)
②生態系の重要性(注2)
③水ストレス(注3)
依存状況 エネルギー 使用量(注4)
使用量(注5)
資源 物件の土地面積を点数化し評価(注6)
総合評価(依存) エネルギー 使用量(注4)
水使用量及び水ストレスを点数化し評価
資源 物件の土地面積を点数化し評価(注6)

自然関連影響度の分析方法

評価項目 評価手法
影響状況 廃棄物 廃棄物量(注7)
GHG GHG排出量(注8)
生態系サービスの状態/危機 生態系の完全性及び生態系の重要性を点数化し評価
総合評価(影響) 廃棄物 生態系の完全性、生態系の重要性及び廃棄物量を点数化し評価
GHG 生態系の完全性、生態系の重要性及びGHG排出量を点数化し評価

依存度の分析結果

自然関連依存度の分析結果

分析結果により「資源」のスコアが高く、依存が大きいことを確認しました。
取得価格ベース上位10物件及び取得価格ベースで上位100物件(カバー率80.1%)の自然関連の依存度の分析結果は、下記の通りです。

用途 物件番号 物件名称 取得価格
(百万円)
所在地 依存
物件エリアの生態系の状況 依存状況(現在) 総合評価(依存)
エネルギー 資源 エネルギー 資源
生態系の
完全性
生態系の
重要性
水ストレス 使用量 使用量 点数化し
評価
使用量 点数化し
評価
点数化し
評価
商業
施設
RM-012 イーアスつくば 34,120 茨城県つくば市 ★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
物流
施設
LM-004 DPL流山Ⅰ 32,600 千葉県流山市 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LM-006 DPL流山Ⅲ 32,000 千葉県流山市 ★★★ ★★ ★★ 未評価 未評価 ★★★ 未評価 ★★★
その他
資産
OT-006 GRANODE広島 28,800 広島県広島市 ★★ ★★★ ★★ ★★ ★★ ★★★ ★★ ★★★ ★★★
物流
施設
LB-006 Dプロジェクト浦安Ⅱ 26,000 千葉県浦安市 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LM-001 DPL三郷 16,831 埼玉県三郷市 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★ ★★ ★★★
物流
施設
LB-002 Dプロジェクト八王子 15,400 東京都八王子市 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LB-066 Dプロジェクト平塚 15,200 神奈川県平塚市 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★★
物流
施設
LM-002 DPL福岡糟屋 13,300 福岡県糟屋郡 ★★ ★★ ★★ ★★★ ★★★
物流
施設
LB-060 Dプロジェクト板橋新河岸 12,300 東京都板橋区 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★ ★★ ★★★
100物件の平均スコア(注) 2.8 1.8 2.0 1.6 1.3 2.6 1.6 1.8 2.6
  • 取得価格による加重平均によりスコアを算出しています。(最低★1.0~最高★★★3.0)

自然関連影響度の分析結果

分析結果により「GHG」のスコアが高く、影響が大きいことを確認しました。
取得価格ベース上位10物件及び取得価格ベースで上位100物件(カバー率80.1%)の自然関連の影響度の分析結果は、下記の通りです。

用途 物件番号 物件名称 取得価格
(百万円)
所在地 影響
影響状況 生態系サービスの
状態/危機
総合評価(影響)
廃棄物 GHG 廃棄物 GHG
廃棄物量 排出量 点数化し
評価
点数化し
評価
点数化し
評価
商業
施設
RM-012 イーアスつくば 34,120 茨城県つくば市 ★★★ ★★★ ★★ ★★★ ★★★
物流
施設
LM-004 DPL流山Ⅰ 32,600 千葉県流山市 ★★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LM-006 DPL流山Ⅲ 32,000 千葉県流山市 未評価 未評価 ★★★
その他
資産
OT-006 GRANODE広島 28,800 広島県広島市 ★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LB-006 Dプロジェクト浦安Ⅱ 26,000 千葉県浦安市 ★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LM-001 DPL三郷 16,831 埼玉県三郷市 ★★ ★★ ★★ ★★★
物流
施設
LB-002 Dプロジェクト八王子 15,400 東京都八王子市 ★★★ ★★★ ★★ ★★★
物流
施設
LB-066 Dプロジェクト平塚 15,200 神奈川県平塚市 ★★★ ★★ ★★
物流
施設
LM-002 DPL福岡糟屋 13,300 福岡県糟屋郡 ★★
物流
施設
LB-060 Dプロジェクト板橋新河岸 12,300 東京都板橋区 ★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★★
100物件の平均スコア(注) 1.3 1.8 1.6 1.9 2.2
  • 取得価格による加重平均によりスコアを算出しています。(最低★1.0~最高★★★3.0)

自然関連シナリオの分析プロセス

LEAPアプローチの分析を踏まえ、異なるシナリオ下における本投資法人の事業への影響を評価するとともに、自然関連リスク・機会に対する戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しています。

シナリオ分析ステップ

Step 1:重要な自然関連リスク・機会の特定
  • 自然関連リスク・機会の抽出
  • 自然関連リスク・機会の評価、重要性の高いリスク・機会の特定
  • 重要性の高いリスク・機会に関連するパラメータの設定
区分 タイプ 想定される
時期
リスク・機会の内容
リスク 物理 急性 短期~長期 GHG排出増大による異常気象、自然生態系の劣化・機能停止等に伴い、建築物、外構の修繕コストが増加
台風、大雨による洪水等自然災害の増加に伴い、家賃収入が減少
台風、大雨による洪水等自然災害の増加に伴い、損害保険料が増加
移行 市場 中期~長期 顧客の生物多様性対応ニーズ(生物多様性に関する環境認証(JHEP、ABINC等)の取得等)の上昇に対応できない場合の事業リスク、サプライチェーンからの排除リスク、収益低下リスク
評判 中期~長期 生物多様性対応の遅れに伴い投資口価格が下落、資金調達コストが増加
機会 市場 中期~長期 顧客の生物多様性対応ニーズ(生物多様性に関する環境認証(JHEP、ABINC等)の取得等)の上昇に対応する場合の事業機会増加、サプライチェーンからの排除回避、収益機会増加
資金調達 中期~長期 生物多様性対応に伴い投資口価格が上昇、資金調達コストが減少
レジリエンス 長期 生物多様性対応強化に伴うレジリエンス強化、将来のコスト発生リスク及び事業リスク低減
Step 2:自然関連シナリオの設定
  • Step 1の情報等を踏まえ、関連性のあるシナリオを特定
  • 自然関連シナリオ(社会像)の設定
想定したシナリオの概観
シナリオA
移行リスク
物理リスク

生物多様性保全に関する政策・制度的な側面や金融の側面からの取組みが強化・推進され、自然破壊や生態系サービスの喪失は抑えられるシナリオ。
シナリオBより移行リスクは高いが、物理リスクは低くなる。

シナリオB
移行リスク
物理リスク

生物多様性保全に関する政策・制度的な側面や金融の側面からの取組みが進展せず、自然破壊や生態系サービスの喪失が進むシナリオ。
シナリオAより移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。

Step 3-1:シナリオA及びBにおける事業影響の評価
  • 本投資法人及びステークホルダーにとっての重要性について、マテリアリティ評価を実施(重要度に応じて、★★★★★(高)~★(低)にて評価)
リスク・機会の内容及びマテリアリティ評価
区分 タイプ No. リスク・機会の内容 マテリアリティ評価(注)
リスク 物理 急性 異常気象、自然生態系の劣化・機能停止等に伴い、建築物、外構の修繕コストが増加 ★★★★★
自然災害の増加に伴い、家賃収入が減少 ★★★
自然災害の増加に伴い、損害保険料が増加 ★★★
移行 市場 顧客の生物多様性対応ニーズ(生物多様性に関する環境認証(JHEP、ABINC等)の取得等)の上昇に対応できない場合の事業リスク、サプライチェーンからの排除リスク、収益低下リスク
評判 生物多様性対応の遅れに伴い投資口価格が下落、資金調達コストが増加 ★★★★
機会 市場 顧客の生物多様性対応ニーズ(生物多様性に関する環境認証(JHEP、ABINC等)の取得等)の上昇に対応する場合の事業機会増加、サプライチェーンからの排除回避、収益機会増加 ★★
資金調達 生物多様性対応に伴い投資口価格が上昇、資金調達コストが減少 ★★★★
レジリエンス 生物多様性対応強化に伴うレジリエンス強化、将来のコスト発生リスク及び事業リスク低減 ★★★★

Step 3-2:シナリオA及びBにおける事業影響の評価
  • Step 2で設定した各シナリオと、Step 1で特定した重要な自然関連リスク・機会と関連パラメータを踏まえ、各シナリオにおける事業影響を分析
Step 4:自然関連リスク・機会に対する戦略のレジリエンスの評価・更なる対応策の検討
  • 自然関連リスク及び機会に対する本投資法人戦略のレジリエンスの評価
  • 更なる対応策の検討
事業への影響及び対応策
区分 タイプ リスク・機会の内容 事業への影響 対応策
シナリオA シナリオB
リスク 物理 急性 異常気象、自然生態系の劣化・機能停止等に伴い、建築物、外構の修繕コストが増加
  • 植栽を在来種を中心に植え替え
  • リスクアセスメントに基づく保険付保等の適切な対応
  • 防水工事、外壁工事、シーリング工事の前倒し
  • 土嚢、止水板、防潮板の設置
自然災害の増加に伴い、家賃収入が減少
自然災害の増加に伴い、損害保険料が増加
移行 市場 顧客の生物多様性対応ニーズ(生物多様性に関する環境認証(JHEP、ABINC等)の取得等)の上昇に対応できない場合の事業リスク、サプライチェーンからの排除、収益低下リスク
  • 生物多様性の保全への貢献度を評価、認証する生物多様性に関する環境認証取得
  • グリーンビル認証の取得
  • 環境性能に関する情報開示
  • ESG評価の向上
  • サステナブルファイナンスの実行
評判 生物多様性対応の遅れに伴い投資口価格が下落、資金調達コストが増加
機会 市場 顧客の生物多様性対応ニーズ(生物多様性に関する環境認証(JHEP、ABINC等)の取得等)の上昇に対応する場合の事業機会増加、サプライチェーンからの排除回避、収益機会増加
資金調達 生物多様性対応に伴い投資口価格が上昇、下落資金調達コストが減少
レジリエンス 生物多様性対応強化に伴うレジリエンス強化、将来のコスト発生リスク及び事業リスク低減
  • リスクアセスメントに基づく保険付保等の適切な対応
  • 防水工事、外壁工事、シーリング工事の前倒し
  • 土嚢、止水板、防潮板の設置
  • ポートフォリオ/調達の多様化

リスクと影響の管理

  • 本資産運用会社では、自然関連の依存、影響、リスクを中長期的に大きな影響を与える事業リスクの一つと認識するとともに、リスクを機会としても捉え、全社的なリスク管理プロセスに統合し管理しています。業務に内在する自然関連を含む種々のリスク及び機会を正確に把握し、これらのリスク及び機会が実現することにより生じ得る損失及び利益を適切に管理するための体制を整備し、経営の健全性を確保し、業務の適正な運営に資することを目的として、「リスク管理規程」及び「リスク管理実施要領」を社内規定として定めています。
  • 本資産運用会社取締役会は、別途定める戦略目標を踏まえ、リスクの所在と性質等を認識したうえで、「リスク管理方針」に基づき、適切なリスク管理体制の整備を統括するものとし、代表取締役社長は、「大和ハウスグループ・リスク管理規程」の定めに則り、全てのリスクについて責任を全うするとともに、適切にリスク管理体制を整備し、リスク管理を推進及び実施すべき責務を負うものとしています。また、リスク管理に関する責任者であるコンプライアンス・オフィサーは、リスク管理方針に沿ってリスクの種類に応じた測定・モニタリング・管理等の手法を構築し、その実効性を確保するための社内規定を整備するものとしています。
  • 本資産運用会社では、以下の通りリスクと影響の管理体制を構築しています。

指標と目標

指標と目標及び目標達成に向けた取り組み

  • 本投資法人では、自然関連リスク・機会及び依存・影響の内、事業上重要性が高いと考えられる事項について、定量指標・目標を設定し、達成に向けて取り組んでいます。
  • 気候関連の目標に追加して生物多様性に関する認証取得目標を設定し、進捗度をサステナビリティレポート、HPで開示します。
  • 将来的には、SBTNのガイダンスに基づく目標を設定することを検討します。
TNFD TCFD 項目 管理対象 指標 目標 目標達成のための取組事項
  リスク 市場 顧客の生物多様性対応ニーズの上昇に伴う事業影響 生物多様性に関する環境認証 2023年度2物件を2030年度5物件以上にする
  • 生物多様性の保全優先度が高い地域に位置する物件を中心に地域の生態系への影響を考慮し侵略的外来種を採用せず、在来種の樹木を使うことや環境にやさしい維持管理を実施
機会
依存 エネルギー使用 エネルギー使用原単位(延床面積ベース) 2017年度を基準年度として、2027年度に10%削減
  • スマートメーターの導入
  • 保有物件のZEB化の推進
  • 内部炭素価格(インターナル・カーボン・プライシング)を設定し、低炭素化推進工事へのインセンティブ、投資の意思決定の指針及び将来のコスト増に関するリスクの特定の参考指標として活用
  • 太陽光発電設備の投資
水使用 水使用原単位(延床面積ベース) 2017年度を基準年度として、2027年度に原単位以下に削減
  • 雨水・地下水・中水の有効活用
  • 節水型機器の導入
  • 水ストレスが「高い」又は「極めて高い」地域への不動産投資のモニタリング
影響 廃棄物排出 リサイクル率 2017年度を基準年度として、2027年度に2017年度以上に向上
  • リサイクル推進のポスターの掲示
  • 分別実施によるリサイクルの促進
GHG排出 GHG排出量 2020年度を基準年度として、2030年度に総排出量を42%削減
2050年度にネットゼロ

SBTi認定

  • 保有物件のZEB化の推進
  • 内部炭素価格(インターナル・カーボン・プライシング)を設定し、低炭素化推進工事へのインセンティブ、投資の意思決定の指針及び将来のコスト増に関するリスクの特定の参考指標として活用
  • 非化石証書の購入
  • 太陽光発電設備の投資
  • LED化の推進

生物多様性に関する認証の取得

JHEP認証の取得(ロイヤルパークス豊洲)

JHEP認証の概要

JHEP(ジェイヘップ)は、生物多様性の保全への貢献度を、客観的・定量的に評価、認証する制度です。JHEPは、生物多様性の価値を事業の前後で比較し、事業後の価値が事業前と同等またはそれ以上のものを、生物多様性に貢献する事業として第三者機関が認証する制度で、評価ランクは6段階(AAA~B+)で表示されます。

なお、JHEP認証の内容等については以下をご参照ください。
JHEP認証に関するウェブサイト:https://www.ecosys.or.jp/certification/jhep/index.html

JHEP認証において評価を受けた点
  • 商業地やオフィスに囲まれている対象地において、外構部や屋上に豊かな植栽が施されている点
  • 生態系被害防止外来種リスト掲載種及び未判定外来生物を使用しておらず、今後使用する計画もない点

なお、ロイヤルパークス豊洲の評価の詳細については以下をご参照ください。
JHEP認証の審査レポート:https://www.ecosys.or.jp/certification/jhep/case/case111report.pdf
JHEP認証の事例紹介:https://www.ecosys.or.jp/certification/jhep/case/case111.pdf

JHEP認証の取得(ロイヤルパークス豊洲)

ABINC認証の取得(ロイヤルパークス花小金井)

ABINC認証の概要

ABINC(エイビンク)は、一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)が開発した「いきもの共生事業所Ⓡ推進ガイドライン」に基づき、生物多様性に配慮した取り組みを評価・認証する制度で、評価ランクは設定されていません。

なお、ABINC認証の内容等については以下をご参照ください。
ABINC認証に関するウェブサイト:https://www3.abinc.or.jp/

ABINC認証において評価を受けた点
  • 樹林、草地、水辺が揃っている、比較的大きな樹木が生育しているなど、多様な環境が維持されている点
  • レインガーデンが作られており雨水循環に配慮した取り組みがなされている点

なお、ロイヤルパークス花小金井の評価の詳細については以下をご参照ください。
第14回ABINC認証施設:https://www3.abinc.or.jp/facility/14th_creature_facilites/

ABINC認証の取得(ロイヤルパークス花小金井)

依存及び影響の状況

エネルギーデータ(依存)

エネルギー消費量

エネルギー消費量

現状
省エネ施策の推進により原単位は減少しているものの、保有物件の増加及びカバー率の向上により総量は増加しています。
対応策
指標と目標及び目標達成に向けた取り組みをご参照ください。
水消費量

水消費量

現状
節水機器の導入の推進により原単位は減少しているものの、保有物件の増加及びカバー率の向上により総量は増加しています。
対応策
指標と目標及び目標達成に向けた取り組みをご参照ください。

排出量データ(影響)

保有物件のGHG排出量

排出量データ(影響)

  • スコープ2はロケーション基準にて算出しています。
現状
省エネ施策の推進及び再エネの導入等により原単位は減少しているものの、保有物件の増加及びカバー率の向上により総量は増加しています。
対応策
指標と目標及び目標達成に向けた取り組みをご参照ください。
廃棄物管理(リサイクル率)

廃棄物管理(リサイクル率)

現状
リサイクルの推進によりリサイクル率は向上しているものの、保有物件の増加及びカバー率の向上により総量は増加しています。
対応策
指標と目標及び目標達成に向けた取り組みをご参照ください。
  • <集計期間> 各4月~3月としています。
  • <算出方法> 保有する物件のうち、データを取得できた物件を対象としています。原単位は、(電気やCO2等の使用総量)÷原単位分母(延床面積(㎡))として計算しています。

環境に配慮した樹名板の普及

本投資法人が保有する物件においてはテナント様に、より自然を身近に感じ、植栽を末永く愛着をもって育んでいただきたいとの思いを込め、樹名板の運用を進めています。

生物多様性保護プログラムの導入

本投資法人が保有する一部のホテルにおいて、客室のヘアブラシ、歯ブラシ等の提供場所を客室からフロント周辺に設置されたアメニティカウンターへ変更することでプラスチック使用削減を実施しています。
「クイズゲート浦和」において、共用部のゴミ袋を本来ごみとして廃棄される使用済ストレッチフィルムのリサイクルごみ袋を使用することでプラスチックごみ削減を実施しています。