大和ハウスリート投資法人

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TCFD提言に基づく開示
( 戦略 )

シナリオ分析の実施

異なるシナリオ下における事業への影響を評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する戦略のレジリエンスを評価することを目的として、下記のステップに沿ってシナリオ分析を実施しています。

Step 1 重要な気候関連リスク・機会の特定、パラメータの設定

気候変動により引き起こされる異常気象や気候変動対策への社会要請が高まっていることを受け、将来的に本投資法人に及ぼすリスクと機会を特定しています。

区分 タイプ 内容
リスク 移行リスク 政策・規制 炭素税の導入及び排出量取引制度の拡大によるコストの増加、建設資材の調達コストの増加
技術 太陽光発電設備設置による設置費用及びメンテナンス費用の増加
市場 テナントの需要変化(気候変動への対応をしていない物件に対するニーズの低下)による賃料収入の減少
評判 気候変動リスクへの対応遅れによるステークホルダーの懸念又はマイナスのフィードバックの増加による資金調達コストの増加
物理的リスク 急性 集中豪雨、台風・洪水、土砂災害、高潮が増加し建築物が浸水することによる営業機会の損失、修繕コスト及び損害保険料の増加
慢性 平均気温の上昇による水道光熱費の増加
機会 製品及びサービス テナントへの低炭素排出設備・サービス提供による賃料収入(高稼働、高賃料)の増加

Step 2 気候関連シナリオの設定

気候変動に関するシナリオ策定にあたり、参照した気候変動に関するシナリオ群は次のとおりです。

区分 シナリオの概要 主な参照シナリオ
2℃未満
シナリオ
脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を2°C未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4°Cシナリオと比較すると低く抑えられる。
  • IEA Sustainable Development Scenario(SDS)
  • IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)
  • IPCC RCP 2.6
4℃
シナリオ
パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO₂排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。
  • IEA Stated Policy Scenario(STEPS)
  • IPCC RCP8.5

Step 3 各シナリオにおける事業への影響の評価

Step 4 気候関連リスク・機会に対する戦略のレジリエンスの評価・更なる対応策の検討

2030年を想定した、気候関連リスク・機会に伴う本投資法人の事業への影響を分析し、それに対する対応及びレジリエンスを策定しています。

区分 シナリオ分析結果の概要 事業への影響(注) 本投資法人の対応/レジリエンス
2°C未満
シナリオ
4°C
シナリオ
移行リスク 政策・
規制
炭素税の導入により、事業活動に伴うGHG排出に係る間接費が増加 35百万円 29百万円
  • 再生可能エネルギー(グリーン電力の調達を含む)比率の向上
  • 省エネ機器やエネルギー管理システムの導入
  • 保有物件のエネルギー消費/GHG排出削減目標(SBT)の設定
  • インターナルカーボンプライシングの導入によるGHG排出削減の推進
炭素税の導入により、修繕・改修工事に伴うGHG排出に係るサービス購入コストが間接的に増加 94百万円 42百万円 同上
技術 太陽光発電設備設置により設置費用及びメンテナンス費用が増加 798百万円 798百万円
  • 計画的な改修工事の実施
  • 新技術導入済みの新規物件取得
市場 環境認証の取得が計画通りに進まなかった場合、賃料収入が減少 914百万円 914百万円
  • 保有物件のグリーンビル認証の取得
  • 環境性能に関する情報開示
評判 ESG対応の遅れに伴い投資口価格が下落、資金調達コストが増加 48百万円 48百万円
  • ESG評価の向上
  • サステナブルファイナンスの実行
物理リスク 急性 洪水等の自然災害の増加に伴い、建築物の修繕コストが増加 427百万円 854百万円
  • リスクアセスメントに基づく保険付保等の適切な対応
  • 防水工事、外壁工事、シーリング工事の前倒し
  • 気候変動リスクチェックシステムの利用等によるレジリエンスの高い物件の保有、入替
  • 土嚢、止水板、防潮板の設置
建築物の浸水リスクの増加に伴い、家賃収入が減少 42~1,000百万円 84~2,000百万円 同上
水害リスクの増加に伴い、損害保険料が増加 22百万円 45百万円 同上
慢性 平均気温の上昇に伴い、水道料金及び電気料金が増加
  • 水道料金の増加
    42百万円
  • 電気料金の増加
    271百万円
  • 水道料金の増加
    45百万円
  • 電気料金の増加
    272百万円
  • 省エネ機器やエネルギー管理システムの導入
  • 潅水設備や節水機器の導入
  • 在来種植栽の採用
  • テナントとの協働による省エネルギー活動の推進
  • グリーンリースの推進
  • 本資産運用会社が、過去の運用実績等を基に一般に開示されているパラメータを参考に試算した年間の影響額であり、数値の正確性を保証するものではありません。

排出削減及びSBTi認定目標の達成に向けたロードマップ

本投資法人では、2030年度に2020年度比でGHG総排出量を42%削減すること及び2050年のネットゼロを長期目標に掲げ、その達成に向けた施策別削減率を含めたロードマップを策定しています。